フェルメールの「絵画芸術」

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フェルメールの「絵画芸術」

ウチのビデオレコーダーはちょっと抜け作なので、たまに番組を勘違いして録画している。
今日も「ギルモア・ガールズ #87」というタイトルのついた録画番組を見たら、フェルメールの特集番組だった。

どういう間違い……


ただ、この番組面白かったのでラッキー。


フェルメールは、レンブラントと並ぶ、17世紀のオランダを代表する画家。
代表作はもちろん、“北方のモナリザ”とも言われる「真珠の耳飾りの少女」。

フェルメール 真珠の耳飾りの少女


そして窓辺で○○する女性シリーズ。

フェルメール ミルクを注ぐ女フェルメール 手紙を書く婦人と召使
フェルメール 天秤を持つ女フェルメール 水差しを持つ女

左上から
「ミルクを注ぐ女」「手紙を書く婦人と召使」
「天秤を持つ女」「水差しを持つ女」。



結婚しても家が持てず義母の家で暮らし11人の子供がいたフェルメールは生涯貧困だったが、当時絵の買い手は直接画家のアトリエに絵を見に行く習慣があり、画家は見本として客に見せる絵を売らずに手元に置いておかなければいけなかった。
そんな稼ぎにはならないが自分の実力を十分にアピールする作品として彼が描いたのが「絵画美術」という題名の↓の作品。

フェルメール 絵画芸術

普段小さ目の絵が多かったフェルメールとして120×100cmの大作で、半年を費やした作品。


一時はヒトラーの手に落ちたこともあるいわくつきの絵画。

モデルの少女は「名声」を象徴するトランペット、「歴史」を象徴する本を手にし、「勝利」や「栄誉」を象徴する月桂樹をかぶっている。
これは、絵が描かれた300年後に歴史の女神クリオが身につけているものだと判明。
後ろの壁には南北に分かれる前のネーデルランド(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)の地図が描かれているが、中央の大きな折り皺が、分裂時の境にあたることが指摘されている。
そして天井のシャンデリアにはネーデルランドを支配していたハプスブルク家の紋章である双頭の鷲があらわされている。

そのため後世では、この絵には分裂前にネーデルランドを支配していたカトリックの教徒であるフェルメールが、分裂後の現状を嘆く、もしくは反感を持っていることをひそかに表した絵ではないかという解釈もされるようになる。

そんな歴史的・政治的に意味深なものがいろいろ描かれていて、
歴史的・政治的な暗示以外にも、いろいろと気になる仕掛けがたくさん。
艶っぽく美しくて、思わせぶりに伏し目がちなモデルの女性。
女性の視線の先にある、机の上のマスク。
当時の最先端のおしゃれアイテム(赤い下着や、切れ込みが粋なモードな上着など)を身につけた、顔の見えない画家。
そして画面の一番手前には、中をのぞきたくなる分厚いカーテン。
そのすぐ近くに、どうぞ座って見ていけば?というような見学にちょうどよさそうな椅子。

まるで誘い込まれているみたいな絵なのです。


そして、光と女性を描くのを得意とした彼の魅力が発揮されているモデルの女性、シャンデリアから木、ビロード、地図、石膏、大理石の床などの様々な質感が取り入れられた室内…
どれもフェルメールの技量が余すところなく発揮されていて、写真見たい。

ちなみに、当時の画家の手引きなるものに、こんなことが書かれていたらしい。
「完璧な絵とは自然の鏡。そこにないものをあると見せ、人を欺きつつも称賛を得るものだ」
がっつり欺かれちゃいます。



すごいね。

そもそも頭の良い人だったんだろうけど、売らないけど自分をアピールする一番の武器になる絵にしっかりと計画と野望を落とし込んだ執念を感じる…。



フェルメールは43歳くらいで亡くなり、彼が生涯手放さなかったこの絵は巨額の借金ゆえに強制的に競売にかけられ、その後100年間行方が分からなくなる。
再び絵の所在が分かった時には、この絵にはライバル画家のサインが入れられていた。

この時点でフェルメールは完全に忘れ去られた存在になっており、彼の絵にはほとんど値打ちがなかった。
しかし1800年代中ごろから、写真ブームで、彼の絵が実に写実的で写真に似ていることから注目を集め、やがてウィーンきっての名画となる。
ヒトラーがその絵に目を付け接収し地下倉庫に秘蔵するが、ヒトラーの死後ウィーンの美術館に収められて今に至る。

なんか浮沈がハンパでない。
そして絵に込められたいろんな思惑も。
ドラマティックな絵だ。

いつか機会が巡ってきたときに実物見てみたいな。


「名画に隠されたストーリー」 
第2回 絵画芸術 
2011年 アメリカ 106分
鑑賞:2011/10/28



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